2017年05月12日

清流の住人

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名瀑「熊の滑り台」を訪れる時、今日こそオヤジに逢ってしまうかな?と、多少なりとも頭をよぎるのである。

十数年前のことだ。撮影後、車を少し走らせたところで林道を横切る黒い塊とニアミスをする経験をした。そうあることではないが、確率はゼロではない。清らかな流れを堪能しながらも、心のどこかで「もしかしたら・・・」と臆病風がそよそよと吹き始めていた。そんな時は些細な気配に敏感になってしまう。枝が揺れる音、虫の羽音・・・ちょっとした出来事にも過剰に反応してしまう。

撮影ポイントを少しずらそうと位置を変えたら、足元から何かがぴょ〜んと飛び跳ねた。一瞬、ドキッ。よくよく見てみると、清流の住人、カジカガエルだった。三脚からカメラを外し、慎重に近寄る。周囲からは何匹もの清々しい鳴き声が聞こえてくる。新緑の頃は彼らにとって恋の季節なのだろう。もしかしたら意中の人(カエルだね)に会いに行く途中だったのかもしれない。

撮影中、撮影後もオヤジに遭遇することなく無事帰還した次第である。
posted by 生出道憲 at 19:39| Comment(0) | カエル

2015年06月13日

モリアオガエル

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頭上の枝にいくつもの卵塊ができていた。モリアオガエルが産卵の季節をむかえたのだ。すでに産卵のピークは過ぎていたようで、この日、目にすることが出来たのは4〜5組ほどのカップルだけであった。

モリアオガエルの繁殖地として国の天然記念物の指定を受けているのは、岩手県八幡平大場沼と福島県の平伏沼(へぶすぬま)の2ヶ所のみ。県によっては絶滅危惧種としてレッドリストに指定されている。

どんな動植物であっても、レッドリストに登録されてはじめて保護、保護と騒ぎはじめる。いつだって人の都合によって環境が壊され、彼ら自然の中で生きるものが犠牲になるのだ。

産卵に勤しむ彼らの姿を、僕は葉陰から気づかれないようにそっと見つめるのみである。
posted by 生出道憲 at 23:10| Comment(0) | カエル